対流不安定の条件

Tweet

 ここでは対流不安定・対流安定について紹介します。

 熱を伝えるプロセスには、大きく分けて熱伝導・放射・対流の3つがあります。 熱伝導では温度が高い方から低い方へ、熱が媒質を伝って移動して行きます。 放射では、電磁波がエネルギーを運ぶ担い手になっています。 この 2 つでは物体は移動しませんが、対流では物体そのものが移動することによって熱を伝えます。 対流の例として、地球大気の対流圏が挙げられます。 太陽光によって地表が温められることによって、地面付近の大気は温められます。 暖かい大気は比重が軽く上昇しやすいため、上空に昇って行きます。
 地球の対流圏以外でも、恒星の内部やガス惑星の内部、その他の惑星の大気内でも対流は発生しています。 また対流するのは気体に限らず、海水のような液体や、マントル対流のように固体が対流することもあります。 身近な例としては、味噌汁の成分の動きがありますが、これも対流の一種と言えます。

 対流が発生するのにも条件があり、対流が発達するような状況は対流不安定、対流が抑制されるような状況は対流安定と呼ばれます。 どのような条件であれば対流不安定を満たして対流が発達するかは、流体の密度変化を考える事によって導出することができます。

目次:


関連ページ:

組成一様での対流不安定: Schwarzschild criterion

 まずは最もシンプルな状況での対流不安定を考えます。 一般的な状況で、対流を駆動するのは考えている系内の温度差、つまり系の温度勾配です。 例えば、下層が高温で、上層が低温の環境では、熱くて軽い下層の流体は上昇しようとし、冷たくて重い上層の流体は下降しようとして不安定となります。

 \(z\) 軸を鉛直上向きに取り、その中での流体の密度変化を考えます。 重力は下向きに一様、\(z\) 軸の負の方向に取ります。 この状況で、流体内のある適当な領域の塊 (ブロブ、blob) を準静的・断熱的に微小距離だけ上昇させた時の密度変化について考えます。 背景 (background) の密度を \(\rhobg\!\left(T,P\right)\) とします。 \(T\) は温度、\(P\) は圧力です。 また、ブロブの密度を \(\rhob\!\left(T,P\right)\) とします。

 微小距離上昇した場所での、バックグラウンドの密度の微小変化は、 \begin{align*} d\ln\rhobg\!\left(T,P\right)=\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln T}\right)_{P}d\ln T +\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln P}\right)_{T}d\ln P \end{align*} と書く事が出来ます。 一方、断熱的に微小距離持ち上げたブロブでの密度の微小変化は、 \begin{align*} d\ln\rhob\!\left(T,P\right)=\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln T}\right)_{P}\left(d\ln T\right)_{\rm ad} +\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln P}\right)_{T}d\ln P \end{align*} と書く事が出来ます。 ほとんど同じ式に見えますが、温度変化が断熱的な時の変化量になっています。 ad は断熱 (adiabatic) を示す添字です。 なお、 \begin{align*} d\ln\rho=\frac{d\rho}{\rho} \end{align*} です。

 ブロブが断熱的に微小距離上昇した時、密度の変化が大きいほど不安定となります。 おおまかな流れは次の通りです。 ブロブが上昇して密度が小さくなりますが、上昇した場所でのブロブの密度と、その周囲 (すなわちバックグラウンド) の密度を比較した時に ブロブの密度の方が小さい場合はブロブに対してさらに浮力がはたらく事になります。 そうなるとブロブはさらに上昇し、さらに密度が小さくなって浮力がはたらき、上昇を続けるようになります。 初めに微小距離だけ上昇させたことによってどこまでも上昇を続けるため、この系は対流不安定、つまり対流が発達する状態であるということになります。

 逆に、ブロブが微小距離上昇して密度が小さくなるものの、その値が上昇した場所のバックグラウンドの密度より大きい場合は、 浮力は働かず重力で引き戻されてブロブは下降することになります。 この場合は系は対流安定、つまり対流が発達しない状態であるということになります。

 密度の変化を評価します。 上に書いたように、微小距離上昇させた時のブロブの密度変化の絶対値が、バックグラウンドの密度変化の絶対値よりも大きい場合は、系は不安定です。 従って、対流不安定のための条件は \begin{align*} \abs{d\rhob}\gt\abs{d\rhobg} \end{align*} と書くことができます。 のちの便宜のため、自然対数を用いた式に書き直すと \begin{align*} \abs{d\ln\rhob}\gt\abs{d\ln\rhobg} \end{align*} となります。 微小距離上昇する時、つまり \(z\) の正の方向へ移動した時の密度変化は負になるため、絶対値を外すと \begin{align*} d\ln\rhob\lt d\ln\rhobg \end{align*} となります。 これが対流不安定のための条件です。

 この式に、バックグラウンドの密度変化とブロブの密度変化の式を代入します。 今は準静的な変化を考えているので、微小距離上昇させた時の圧力変化はブロブもバックグラウンドも等しくなります。 そのため \(d\ln P\) の項は不等式の両辺で等しいので消去でき、 \begin{align*} \left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln T}\right)_{P}\left(d\ln T\right)_{\rm ad} \lt \left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln T}\right)_{P}d\ln T \end{align*} となります。 両辺を \(\displaystyle{\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln T}\right)_{P}}\) で割ると、 \begin{align*} \left(d\ln T\right)_{\rm ad} \gt d\ln T \end{align*} となります。 \(\displaystyle{\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln T}\right)_{P} \lt 0}\) であるため、不等号の向きに注意します。

 さらに、両辺を \(d\ln P\) で割ります。 圧力 \(P\) も \(z\) の減少関数であるため、\(d\ln P \lt 0\) であることに注意すると、以下の式が得られます。 \begin{align*} \left(\frac{d\ln T}{d\ln P}\right)_{\rm ad} \lt \left(\frac{d\ln T}{d\ln P}\right) \label{sch} \end{align*} これが流体中における対流不安定の条件です。 この条件を Schwarzschild criterion (シュヴァルツシルトの判定条件) と呼びます。

 Kippenhahn, Weigert, Weiss による著書「Stellar Structure and Evolution」内の記述によると、 この Schwarzschild criterion という名前はドイツ人物理学者のカール・シュヴァルツシルト (Karl Schwarzschild) から名付けられました。 カール・シュヴァルツシルトは一般相対論での功績が特に有名で、時空を記述するアインシュタイン方程式の特殊解を初めて発見した人物でもあります。 特殊解のシュヴァルツシルト解 (Schwarzschild solution) や、 ブラックホールの事象の地平面の大きさを示すシュヴァルツシルト半径 (Schwarzschild radius) などに名前が残っています。
 なお、カール・シュヴァルツシルトの息子であるマーチン・シュヴァルツシルト (Martin Schwarzschild) も同じく天体物理学者であり、 特に恒星物理などの分野で業績を上げています。 マーチン・シュヴァルツシルトの恒星物理の研究の中には、父親の名前が付けられた Schwarzschild criterion に関するものも数多くあります。

 この Schwarzschild criterion の式は、 \begin{align*} \nabla_{\rm ad}=\left(\frac{d\ln T}{d\ln P}\right)_{\rm ad} \end{align*} \begin{align*} \nabla_{T}=\left(\frac{d\ln T}{d\ln P}\right) \end{align*} という表式を用いて、シンプルに \begin{align*} \nabla_{\rm ad} \lt \nabla_{T} \end{align*} と表現されている場合が多いです。 ある系の温度勾配 \(\nabla_{T}\) が、断熱的な温度勾配 \(\nabla_{\rm ad}\) よりも急になっている状況では、上昇したブロブは上昇を続け、対流不安定となる事を示しています。

 不安定条件は、移項して次の形で書かれる事もあります。 \begin{align*} \nabla_{T} - \nabla_{\rm ad} \gt 0 \end{align*}

Schwarzschild criterion (シュヴァルツシルトの判定条件)
 組成一様の流体においては
\(\nabla_{T} - \nabla_{\rm ad} \gt 0\) ・・・対流不安定

\(\nabla_{T} - \nabla_{\rm ad} \lt 0\) ・・・対流安定
という関係がある。

 Schwarzschild criterion での対流不安定は、感覚的には 「熱くて軽いものは上昇し、冷たく重いものは下降する」という状態です。 例えば下層 (天体の場合は中心部) が熱く、下から温められるような環境下の場合は、 下層で温められた流体素片は上昇し、上昇して冷えた流体素片は下降して対流が発生します。

組成勾配を考慮した対流不安定: Ledoux criterion

 Schwarzschid criterion では、流体中の組成の分布については考慮していませんでした。 すなわち、組成が一様であるという仮定の下での対流不安定・対流安定の条件であるということです。 組成の勾配が無視出来る場合は良い仮定ですが、組成の勾配が大きくなると対流不安定の条件に影響を及ぼします。
 例えば、下層の成分は平均分子量が大きいため重く、上層の成分は平均分子量が小さいため軽いという状況を考えると、 下層の成分は上層の成分よりも重いため上昇しにくくなります。 つまり、\(z\) の正の方向に向かって減少するような組成勾配が存在する場合は、 組成が一様の状況よりも対流は安定化されやすく、対流が発達しにくい環境になる場合があることが予想出来ます。 そこで、Schwarzschid criterion を導出した先程までの計算に平均分子量の変化を加え、 組成勾配が存在する状況下での不安定条件を導出します。

 バックグラウンドの密度を \(\rhobg\!\left(T,P,\mu\right)\)、 ブロブの密度を \(\rhob\!\left(T,P,\mu\right)\) と表します。 ここで,平均分子量 \(\mu\) を新たに変数に加えています。 微小距離上昇した場所での、バックグラウンドの密度の微小変化は、 \begin{align*} d\ln\rhobg\!\left(T,P,\mu\right)=\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln T}\right)_{P,\mu}d\ln T + \left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln P}\right)_{T,\mu}d\ln P + \left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln\mu}\right)_{T,P}d\ln\mu \end{align*} と書くことができます。 変数が増えた分、式は長くなっています。 断熱的に微小距離上昇させたブロブでの密度の微小変化は、 \begin{align*} d\ln\rhob\!\left(T,P,\mu\right)=\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln T}\right)_{P,\mu}\left(d\ln T\right)_{\rm ad} + \left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln P}\right)_{T,\mu}d\ln P + \left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln\mu}\right)_{T,P}d\ln\mu \end{align*} となります。 添字の ad は先程までと同様、断熱温度変化を示しています。

 対流不安定のための条件は、先程と同じく \begin{align*} d\ln\rhob \lt d\ln\rhobg \end{align*} です。 これにバックグラウンドとブロブの微小変化を代入して比較をします。 準静的変化を考えるため圧力変化は等しいとして、\(d\ln P\) の項は両辺で等しいため消去出来ます。 また、バックグラウンドは組成の勾配があるものの、ブロブ内は同じ成分を保ったまま微小距離上昇させるため、ブロブ内での組成変化はありません。 そのため、ブロブの密度変化については \(d\ln\mu=0\) とすることができます。
 ただしこれはあくまで仮定であり、現実には上昇に伴ってブロブ内の組成が変化する事はあり得ます。 例えば、温度変化や圧力変化によって化学平衡状態が変わったり、温度低下に伴って気体の一部が凝結して落下し、 流体成分から取り除かれるなどの現象が起きれば、ブロブの平均分子量変化はゼロにはなりません。 今は、ブロブ内ではそのような変化は起きないものとします。

 不安定のための条件は、 \begin{align*} \left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln T}\right)_{P,\mu}\left(d\ln T\right)_{\rm ad} \lt \left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln T}\right)_{P,\mu}d\ln T + \left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln\mu}\right)_{T,P}d\ln\mu \end{align*} となります。 両辺を \(\displaystyle{\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln T}\right)_{P,\mu}}\) で割ると、 \begin{align*} \left(d\ln T\right)_{\rm ad} \gt d\ln T + \frac{\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln\mu}\right)_{T,P}}{\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln T}\right)_{P,\mu}}d\ln\mu \end{align*} が得られます。 先程と同様に不等号の向きに注意します。 密度は温度の減少関数であるため、微分は負になります。 ここで、 \begin{align*} \chi_{\mu}=\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln\mu}\right)_{T,P} \end{align*} \begin{align*} \chi_{T}=\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln T}\right)_{P,\mu} \end{align*} と置き、さらに両辺を \(d\ln P\) で割ると、 \begin{align*} \left(\frac{d\ln T}{d\ln P}\right)_{\rm ad} \lt \left(\frac{d\ln T}{d\ln P}\right) + \frac{\chi_{\mu}}{\chi_{T}}\left(\frac{d\ln\mu}{d\ln P}\right) \end{align*} となります (\(d\ln P\) で割った時の不等号の向きに注意します)。 これが、組成勾配がある場合の流体中における対流不安定の条件です。 この条件を、Ledoux criterion (ルドゥーの判定条件) と呼びます。 この式の組成勾配をゼロにすれば、Schwarzschild criterion と一致することが分かります。

 温度勾配の時と同様に、組成勾配を \begin{align*} \nabla_{\mu}=\left(\frac{d\ln\mu}{d\ln P}\right) \end{align*} と置くと、不安定条件は \begin{align*} \nabla_{T}-\nabla_{\rm ad} \gt -\frac{\chi_{\mu}}{\chi_{T}}\nabla_{\mu} \end{align*} となります。

 場合によっては、定義を微妙に変えて \begin{align*} \alpha_{\mu}=\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln\mu}\right)_{T,P} \end{align*} \begin{align*} \alpha_{T}=-\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln T}\right)_{P,\mu} \end{align*} と置くことがあります。 この表式の場合は、不安定条件は \begin{align*} \nabla_{T}-\nabla_{\rm ad} \gt \frac{\alpha_{\mu}}{\alpha_{T}}\nabla_{\mu} \end{align*} と書かれることになります。

Ledoux criterion (ルドゥーの判定条件)
 組成勾配のある流体においては
\(\displaystyle{\nabla_{T}-\nabla_{\rm ad} \gt -\frac{\chi_{\mu}}{\chi_{T}}\nabla_{\mu}}\) ・・・対流不安定

\(\displaystyle{\nabla_{T}-\nabla_{\rm ad} \lt -\frac{\chi_{\mu}}{\chi_{T}}\nabla_{\mu}}\) ・・・対流安定
という関係がある。
ただし、\(\displaystyle{\chi_{\mu}=\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln\mu}\right)_{T,P}}\)、 \(\displaystyle{\chi_{T}=\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln T}\right)_{P,\mu}}\) である。

理想気体の場合の不安定条件

 Ledoux criterion において、流体が理想気体である場合を考えます。 条件式の中に \(\chi\) (あるいは \(\alpha\) )が入っているため直感的に分かりづらいですが、理想気体の場合は条件式は非常にシンプルな形になります。

 理想気体の状態方程式は \begin{align*} P=\frac{\rho k_{\rm B}T}{\mu m_{\rm H}} \end{align*} です。 ここで \(k_{\rm B}\) はボルツマン定数、\(m_{\rm H}\) は水素原子の質量です。 この状態方程式を用いて、\(\chi\)を計算します。

 状態方程式を \(\rho\) の式に直すと \(\displaystyle{\rho=\frac{\mu m_{\rm H}}{k_{\rm B}T}}P\) となるため、 \begin{align*} \frac{\del\rho}{\del\mu}=\frac{m_{\rm H}}{k_{\rm B}T}P \end{align*} が得られます。 よって、 \begin{align*} \chi_{\mu}=\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln\mu}\right)_{T,P}=\frac{\mu}{\rho}\frac{\del\rho}{\del\mu}=1 \end{align*} となることが分かります。 同様に、 \begin{align*} \frac{\del\rho}{\del T}=-\frac{\mu m_{\rm H}}{k_{\rm B}T^{2}}P \end{align*} などから、 \begin{align*} \chi_{T}=\left(\frac{\del\ln\rho}{\del\ln T}\right)_{P,\mu}=\frac{T}{\rho}\frac{\del\rho}{\del T}=-1 \end{align*} となります。 なお、\(\alpha\) の場合は \(\alpha_{\mu}=\chi_{\mu}=1\)、 \(\alpha_{T}=-\chi_{T}=1\) となります。

 この結果を用いると、対流不安定が起きるための条件は \begin{align*} \nabla_{T}-\nabla_{\rm ad} \gt \nabla_{\mu} \end{align*} となります。 これが、理想気体での Ledoux criterion です。 状況によっては、理想気体を仮定したこの式を Ledoux criterion としている場合もあります。

理想気体での Ledoux criterion (ルドゥーの判定条件)
 組成勾配のある理想気体においては、
\(\nabla_{T}-\nabla_{\rm ad} \gt \nabla_{\mu}\) ・・・対流不安定

\(\nabla_{T}-\nabla_{\rm ad} \lt \nabla_{\mu}\) ・・・対流安定
という関係がある。

 この不安定条件の式から、対流不安定が起きるための条件がより厳しくなっていることが分かります (組成勾配が \(z\) の減少関数となっている場合)。 組成勾配が無い場合である Schwarzschild criterion では、系の温度勾配が断熱温度勾配より急になっていれば不安定条件を満たし、対流が発達する事が出来ました。

\(\nabla_{T} \gt \nabla_{\rm ad}\) ・・・不安定 (Schwarzschild criterion)

しかし Ledoux criterion では、系の温度勾配が断熱温度勾配と組成勾配の合計よりも急になっていなければ不安定条件を満たしません。

\(\nabla_{T} \gt \nabla_{\rm ad}+\nabla_{\mu}\) ・・・不安定 (Ledoux criterion)

これは、組成勾配によって対流は安定化され得るという事を示しています。

 Schwarzschild criterion と Ledoux criterion の両方で不安定な場合は、系は不安定で対流を起こします。 両方で安定な場合は系は安定です。 しかし、Schwarzschild criterion では不安定で、Ledoux criterion では安定という状況では、 温度勾配によって不安定化しようとする動きと組成勾配によって安定化しようという動きが対立します。 このような状態では、semi-convection (半対流、準対流) と呼ばれる物質の混合が起きる場合があります。

 また、熱の拡散や組成の拡散を考慮すると、不安定性の条件がさらに変化します。 ここまでの議論の方法で熱拡散や組成拡散を含めて考えるのは非常に難しいため、 流体の基礎方程式を線形解析して不安定性に付いて調べることができます。 これは別のページで紹介します。





参考文献

高原文郎「宇宙物理学」(朝倉書店)

2017年06月05日 更新
▼ページ更新履歴
TOPへ戻る